◎日本ハーブ療法研究会の設立に当たって

代表世話人 今西二郎

 

ハーブは、一般の方には、疾患の予防・治療、健康維持・増進さらには単なる嗜好品として広く利用されている。それに反して、医療機関では、ほとんど用いられる機会はない。この理由の一つとしては、わが国の医療機関では、現代西洋医学が中心であることがあげられる。ところが、現代西洋医学では、意外とハーブ由来の、あるいは関連した医薬品が用いられているのも事実である。しかしながら、そのほとんどは、ハーブ由来の有効成分あるいはその誘導体なのである。ハーブそのままを用いることはほとんどない。 したがって、ハーブが、医療機関で用いられていない第1の理由としては、1種のハーブでも数十から数百種の成分が含まれているため、単味の有効成分を重視する現代西洋医学と相容れにくいことがあげられる。第2の理由としては、ハーブの基礎研究、臨床研究が、さほど進んでいないこと、第3の理由として、わが国では、ハーブについての規格基準、安全基準などが定められていないことなどがあげられる。第4の理由としては、わが国の保険医療制度の下では、漢方を除いて、ハーブ療法は適用されていないことがあげられる。 わが国では、漢方が保険適用になっているので、何種類かのハーブ(生薬)をブレンドした漢方薬が用いられてはいる。そういうことからすると、わが国は、ハーブ療法をよく実践している国の一つといえなくもない。しかし、いわゆる西洋ハーブを用いた狭義のハーブ療法は、欧米諸国に比べると、まだまだ盛んに実践されているとはいえない。 わが国のハーブに関する研究については、特に基礎研究では、成分分析については、世界にも誇る成果があげられてきた。一方、ハーブの薬理学的研究については、まだまだといったところである。また、臨床研究においても、レベルの高い臨床試験があまり行われていないのが現状であろう。 ハーブ療法を進めて行くには、基礎研究は言うまでもなく、ハーブに関する有効性や安全性を確認すること、ハーブと他の医薬品との相互作用についての情報を収集・調査すること、これらについてのデータベースを構築し、公開することなどが必要である。  本研究会では、以上のようなハーブを取り巻くさまざまな問題についての研究を発表し、情報を公開し、意見交換をすることにより、医療機関での使用に耐えるハーブ療法の確立を目指すことを目的としている。そのためには、臨床医、医学、薬学、農学、化学、栄養学領域の研究者などが、連携を図りながら、さまざまな問題を解決していかねばならないと考えている。  興味のある方は、ぜひご入会頂きたいと願っています。

 

 



日本ハーブ療法研究会シンボルマーク・ロゴタイプ
東京家政大学造形表現学科グラフィックデザインゼミ4年生の住谷尚保さんが作成しました。
デザインコンセプト:モチーフのメディカルハーブの葉でJSPのロゴタイプを円形にやさしく包む配置はハーブ療法を象徴し、5つの花はハーブの研究が人を健康に幸せにしていく姿をイメージしデザインしました。